74:ニュース

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74:ニュース

 コータローとシナコが、シシマ邸にランチをしに来てから半月ほど経った頃、ヤシマンゴを通じて、タッペイたちに一つのニュースが報じられた。 「コータローとシナコちゃん、付き合ってるんだって」  シシマは「今日も暑い一日になりそうだね」くらいの気楽さで言った。  タッペイとユタカにとっては、青天の霹靂だった。  言葉をなくしているタッペイに、ユタカは即刻断言した。 「あの野郎、とうとう辛抱できなくなったな。ケダモノめ!」 「ユタカ、いくら何でもその言い方は・・・」 「そうだぞ、バカモン!」  シシマは、後ろからいきなり、ユタカのふくらはぎを強くつまんだ。 「いっでえ! 何しやがる!」 「シナコちゃんは魔法使いだぞ。罪人如きに力ずくでどうにかされるような存在じゃないわ!」 「え~、でも、おシナってけっこう隙だらけっていうか、そういうとこあるじゃんよ。服も、けっこう露出度高いしよ~」 「でな、タッペイ」 「おい、俺は無視か?」  頬をぴくぴくさせるユタカには目もくれず、シシマはタッペイを見上げた。 「今日、また遊びに来たいって話なんだ。ランチ、なにか用意してもらえるか?」 「あ、うん。それはいいけど・・・」 「なんだ?」  タッペイは口をつぐんだ。  が、すぐに 「なんでもない。じゃあ、準備するね」 と言うと、二人に背を向けてキッチンのほうに行ってしまった。  ユタカは、思うところのあるような眼差しでタッペイが去っていったほうを見ていたが、再度シシマにふくらはぎをつままれて飛び上がった。 「なにしやがんだ! クソガキィ!」 「プロパガンダ! ラクガキィ!」 「意味ねえことを、適当に言ってんじゃねえよ・・・」 「お前もぼさーっとしてないで、さっさと家の掃除を始めろ! 昼前にはシナコちゃんたち来るんだからな!」 「わーったよ。たく・・・」  ユタカは、シシマのつむじ辺りの髪を荒っぽくかき混ぜてから、掃除をしに歩いていった。
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