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75:セクハラ上官とちょんまげBL
コータローは、シナコの腰に手を回して現れた。
「よう、久しぶりだな。セクハラ上官」
とユタカ。
「そうですね、ちょんまげBL」
とコータロー。
会って二秒で一触即発になった二人を、タッペイが慌てて止めた。
「もう、いい加減にしろよ、二人とも! なんですぐ喧嘩腰になるんだよ!」
「先にふっかけてきたのはユタカです」
シナコの肩に乗っていたヤシライムが、同意するように首を上下に振った。
「そうだな・・・。ユタカ、今のは、お前が悪いぞ」
「だって、あんな見せつけやがってよう。どうせ、根暗童貞のくせによ!」
コータローのこめかみに血管が浮き立った。が、言い返すことはせず、ただ、シナコの腰に回した手に力を込めた。
ユタカは腕組みをすると、顔を上向け、あごを突き出して言った。
「まあ、シナコも、けっこうかわいいけどよ。タメコにはやっぱり敵わねえな。なんたってタメコは、滝川クリステルにそっくりだかんな!」
お前の嫁さん、何歳だよ?
とコータローとタッペイは思ったが、口には出さなかった。
時々口汚い言い争い(ユタカVSコータロー、もしくはユタカVSシシマ)をしつつランチを済ませると、シシマがシナコの膝に手を置いて
「ねえ、シナコちゃん。庭でボール遊びしよう!」
とせがんだ。
「あ、いいね。久しぶりだもんね」
「ボール遊び?」
ユタカが、デザートのココナッツミルクシャーベットを食べながら尋ねた。
「ビーチボールでやる、普通のボール遊び。ヤシバナナたちも一緒にやるんだよ」
と、シナコが説明した。
「鳥が? いったいどうやってやるんだよ?」
「馬鹿にするな。ヤシバナナたちはお前より優秀だ。ボール遊びなんて朝飯前だぞ!」
「俺かて、ボール遊びくらいできるわ!」
「さー、シナコちゃん、行こう行こう!」
シシマは、シナコの手を引いて、ダイニングの大窓から庭へ出た。ヤシバナナたちも、二人のあとを追って外に出た。
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