14人が本棚に入れています
本棚に追加
4月7日。
珱楠学園高等学校入学式および始業式当日の、朝7時57分。
遅刻まであと、23分。
水城千影は、涼夜の部屋の前にいた。少なくとも10分ほど前から何度もインターホンを鳴らしているが、待ち人はいっこうに出ない。
「これは……」
寝てる。絶対寝ている。
完全に遅刻である。いや、そもそもそんなに余裕をもって家を出た訳では無いし、着いた時も結構ギリギリだったし、だから決して涼夜が悪いのではなくて……あ、8時。
初日から遅刻。
これでもう、先に行くという選択肢はなくなった。一人で怒られるなんて無理。ヤだ。そんな目立つことしたくない。
……なんて、言い訳してみる。涼夜はきっと疑わない。
「よし。……涼夜?入るよー?」
気の抜けた気合いの言葉と共に、そっとドアを開く。スペアキーを貰っていることに少しの優越感。自然とニマニマしてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!