千影と涼夜

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「チカ?」  目の前に、涼夜の、顔。 「わあ!?」  ち、ち、近い。顔が近い。顔あっつい。絶対今へんな顔してる。うわ、睫毛意外に長い。あ、左目の下にホクロ。なんかセクシー…… 「チカ?大丈夫?」 「う、うん!大丈夫だよ!」  危ない。トリップしかけた。  いつの間にか、制服に着替えた涼夜が僕を覗き込んでいた。少し寝癖のついた髪を手で梳いてあげる。  少し目を見開いたあと、嬉しそうに目を細める。 「チカ?気持ちいいんだけど、時間いいの?」  暫くして声をかけられた。はっと時計を見る。8時10分。遅刻まであと、10分。 「遅刻決定」  笑いながら言う。さっきとは違う笑い方。今度は口だけでニヤッて感じ。  うん。カッコいい。
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