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「はあぁ……セーフ?」
「アウトだバカやろ」
「いたい」
あの後、走って部屋を出た。途中から涼夜が手を引いてくれた。僕が走るのが遅いからだけど、握った手から伝わる熱がじわりと広がって嬉しさと恥ずかしさといろいろな気持ちが混じりあい、最終的に残ったのは切なさ。なんだか無性に泣きたくなった。
きっと、もう、そろそろ限界。
教室につき、中に入ったところで先程の会話。時計を見る。
「遅刻だね、涼夜……」
なんでセーフだと思ったのか。そして、先生は、何も頭を叩かなくてもいいのでは?地味に痛かった。
今僕らの頭を叩きやがられたのは、担任の斎先生。厳しくすべき時は厳しく緩める時は緩める、飴と鞭の使い方が上手い人。生徒からも人気があって、結構良い先生だと思う。
「お?水城もいたのか。ちっさくて見えなかった」
「……」
訂正。結構悪い先生かも。今から貴方は敵だ。謝る気も失せた。
「そんなに睨むな。お前ら二人は遅刻だから後で罰則。とりあえず座れー。」
席に着く。
僕は窓際から3列目の前から4番目。特に目立ちもしない普通の席。涼夜は窓際の一番後ろ。何?主人公なの?カッコいい。さすが涼夜。
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