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「ほおら、ちゃんとわたしの言うことを聞きなさい。この下僕ども。アルフレッドはシルベスターの隣、このテーブルの脇にいるのよ。それからミーシャはリリーといっしょに大テーブルで晩餐会の支度をしてっと……」
彼女は女王様だ。この城とここにいるすべての住人を支配している。誰も彼女には逆らえない。自分の都合で勝手気ままに遊び、我々をなんとも思っていない。
そんな彼女にも“お気に入り”がいる。そう、僕のことだ。女王様はいつも城から僕を連れ出し、自分のベッドまで誘い込む。外出するときもいつもお供をさせられる。
ある日、女王様は隣国の女王様のところへ遊びに行き、そこに僕を置き忘れて勝手に帰ってしまった。あれだけお気に入りだと言っていたのに。
「ママぁあ、わたしのお気に入りのクマのジョナサンがいないの、どこ行ったかさがしてえぇ!」
「もう、あれだけお人形はちゃんと片付けなさいよと言っていたのに、駄目な子ねえ。お友達のところへ行った時忘れてきたんじゃないの?」
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