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1.ハジマリ
貴方の笑顔が、毎日生きる希望でした。
それはそれは儚い夏の思い出。
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あの日が恋物語の始まりだった。
夜遅くの 同じ部活の先輩からのLINE。
「起きてる?」
私は あんまり話したことが無い先輩だったから驚いた。
「はい。起きてますよ。」
と返信したら、すぐ既読がついた。
「じゃあ、LINEしよ。笑」
その日は1時間くらいLINEをした。
あっという間に過ぎてった。
(今日はLINE楽しかったな…)
そう思いながら眠りについた。
次の日の部活。
その先輩と朝1番に出会った。
「片平先輩。おはようございます。」
そのLINEの先輩は片平先輩という。
同じ吹奏楽部の1つ上の先輩。すごく楽器が上手く、ソロも何度か経験済み。
(こう見たら、片平先輩って案外かっこいい…のかも。)
茶色っぽい髪の毛が朝日に照らされて綺麗に私の瞳に映る。
「おはよう。朝倉さん。」
片平先輩は笑顔で挨拶を返してくれた。
なぜか嬉しくなった。
その日の体育祭のマーチング練習。
休憩時間に隣で座って話していたら、すごく幸せな気分になった。
けど…
片平先輩には彼女がいる。
それが心に引っかかる。
(好きになっても…恋は叶わないんだ。)
そう思うと苦しい。
まさか、片平先輩のことすきになったわけじゃないよね?
まあ、まさか…ね?好きになるなんて。
…次の日。
(眠いなぁ…部活行きたくない。)
そう思いながら校門をくぐった。すると
「おはよう。なんか眠そうだね?!」
片平先輩が私の前に顔を出してきた。
(顔が、ち、ち、近い…ドキドキするよ…)
「べ、別に眠くなんてないです。」
私はそう言って歩き出した。
片平先輩も、もちろん着いてきた。
そりゃあ同じ部活だから行く場所は同じ。
部室に着くまで2人の間は沈黙だったけれど
なぜか居心地が良くて幸せだった。
(この横顔、かっこいいなぁ…)
ふと見た先輩の横顔が綺麗でかっこよくて…
惚れた。
部室の前に着いた。すると
「あ!もう部室だ…じゃあまたね!部活お互い頑張ろ!」
先輩は、楽器庫まで走っていった。
しばらく、私はその場に立っていた。この幸せの余韻に浸っていたかったから。
(よし、部活頑張ろ。)
切り替えて、私は部室に入った。
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