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異種族の亜人達が復活した(中)
階段が終わった先には空間が広がっていた。そして其処には複数の棺の様な物が鎮座していた。
「何だ此処は? もしかして墓標なのか・・・」
私は墓荒らしをするつもりなどなかった。だが意思とは関係無く棺に近付き、跪いて蓋に手を差し伸べている私自身に驚く。
「手が勝手に・・・」
まるで誰かの意思が私の手を動かしているかの如く、棺の蓋が開けられて行く。そして中に入っていたモノに驚愕した。何故ならまるでさっき入ったばかりの様に生き生きとした人間の女性が居たからだ。
「いや、人間じゃない!?」
最初は奇抜な衣装に目が行ってしまったが、良く良く見れば、顔に付いている耳が長いのだ。ラノベや異世界物アニメに良く出て来るファンタジー人物を一瞬で思い浮かべた。意外と思うな、女子プロレスの中にだってオタク文化は浸透している。
「エルフ・・・なのか?」
私の言葉に反応したかの様に、突然棺の中に居た者が目を開けた。生きていた!?
「&@#!?」
目を開けたかと思えば、聞き慣れない言葉を発して起き上がって来た。
「おい、何を言っている?」
私が話しかけると手にしていた杖を突き出してモゴモゴと呟くエルフ。すると私は突然眠気に襲われた。
「む、コレはお前の仕業か?」
杖の先から何か得体の知れない何かが私を包み込んだ様に感じた。このままではマズイと私は咄嗟にエルフに頭突きをかましてしまう。
「痛、だが眠気は引いたな。随分な挨拶じゃないか」
私の頭突きに杖を落として額を抑えるエルフを起き上がって見下ろす。昔の血が騒ぎ出している。あの頃の闘争心が蘇りかけて来た。
「今度は何をする気だ?」
何をして来ても対処できる様に腰を落としてファイティングポーズを取る。スーツ姿で違和感バリバリだが、そんなモノは向こうの衣装に比べたらマシだろう。
「ははは、其れは悪手だろう。少し頭を冷やすと良い」
棺から出て優位に立ちたかったのか、腰に下げていた短剣を抜いて私に迫るエルフ。しかし、起きたばかりで身体が重いのか動きが遅い。手を掴んで捻り上げて短剣を落とさせてから首に手を回して地面にキスをさせてやる。
「ん? 何だこの程度で気絶したのか。さて、このエルフどうしてくれよう」
マットと比べたら硬い地面はさぞ痛かっただろうが、こんなにも簡単に意識を無くすとは、肉弾戦が不得意なのかも知れないな。
「こうなると、他の棺の中が気になって来るな・・・」
他の棺にも恐らく誰かが入っているのだろう。全員がエルフなのかそれとも・・・。
「開けてみれば解る事だな」
生きているなら墓荒らしにはなるまいと、他の棺も開ける事にした。そして居たのは全員が人間とは違う異種族の亜人達だった。
「ははは、全員が人間じゃないだって? しかも女性だけとはどんな偶然だ。私は今とんでもない事を思いついてしまったぞ!!」
全員が異種族で、しかも眠る姿は見目麗しい成人女性達。耳の違いなど些細な事。髪の色や皮膚、それに一部の者には角が生えている。此処にいる者達が手に汗握る戦いに身を投じたとしたら?
「そんなの激るに決まっているじゃないか!」
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