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「わぁーーッ! 突き刺さるぅ! 前方不注意ッ追突、追突! 集団暴行!」
それは次第に激しくなり、見るからに肉の塊に食欲をそそられるのか、人間だと認識したのか、四方からやってきては大きな歯茎と鋭い目つきでカプセルを噛み砕こうとする。そのたび坂上はカプセルの中でガコンガコンと壁に体と頭を打ちつけられた。
〝このカプセルはあらゆる外敵から守る〟
そうだ、あの説明書にはそう書いてあった。
このカプセルは大丈夫なはずーー。
打ち付けられる衝撃の中で坂上は思い出した。
とはいってもこの状況。サメは数を増して尖った鼻先をぶつけて何とかしてカプセルをこじ開けようと目の前でサメ同士が喧嘩を始める。
ガガッ……。
「うわっ! 歯が刺さったか? 鉄骨みたいな歯見せやがって。まさかの製品不良で穴開かねぇだろうな」
坂上は大小さまざまなサメの顔を何度も真正面から見させられていた。
すると今度はひときわ大きな顔が自分に向かって突進し、重たい音と砂埃を巻き上げ激しく叩かれた。
ダッボォーーン……とその大きな音と衝撃でカプセルは岩にぶつかり、今度こそ砕かれたと思われた。巨大ザメに襲われた恐怖で坂上は気を失う。
カプセルは海底をアテもなく進む。
どのくらいの時間が経ったのかーー。
気がつくといつのまにか辺りは満点の星空だった。
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