17人が本棚に入れています
本棚に追加
どこからともなく変なちっこい魚がカプセルをつついて集まってきた。
「こんな小さな魚でも、群れとなるとさすがに気持ち悪いな」
群れをなした魚の真顔が360度みんながこっちを向いている。坂上はカプセルの中で魚とにらめっこをした。
「ガオォーーッ! バババァーー!」
変な顔して魚に威嚇したら、魚たちは驚いて離れていった。
「ギャハハハ……ッハ。こんなんでも魚って驚くんだなー。魚の驚いた顔初めて見たわ。っていうか目は無表情だし」
魚の群れはカプセルから離れてどこかに消えていく。
「あれ? どこかで汽笛が聞こえる」
海面の向こうで船が見えた。あの汽笛は船がレーダーによりカプセルを検知し、巻き込み防止のためカプセルを避けて航行していく合図。
「お? あれはカプセル! 仲間だ仲間!」
あいつも漂流組か。
「おーい! おーい」
流れてきたカプセルにアメリカの国旗が描かれていた。
「そうか、オレのカプセルに国旗が描かれていると思ったら、こういうとき国名を認識するためだったのか」
カプセル同士近づいては離れ、手を振って仲間意識を感じたのも束の間、あっという間に波によって離されていった。
最初のコメントを投稿しよう!