17人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「履歴書が濡れちまう!」
書類をシャツの中にしまいこみ店に着く。おじさんは腕を組みまだまだお休み中。坂上は自動扉を開けて中に入った。
「すみません。外の求人を見て来たのですが」
ハッと気がついたおじさんは客だと思ったのか〝いらっしゃいませ〟と言った。
「いや、あの、求人を見て来たんですけど」
「あ。あーそうですか」
まだ眠たげで思考が追いついていかない様子。
「えっと……じゃあそこに座ってください」
目の前の接客カウンターに座るよう指示され一度腰掛けた。とりあえず挨拶しておくかと坂上はまた席を立つ。
「坂上伊吹といいます。履歴書になります」
「あー、ちょっと待っててね」
そういって奥に行ってしまった。
ーー薮から棒に履歴書は早かったか。店長でも呼びに行ったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!