きっかけ

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 するとさっきのおじさんが麦茶を2つ持ってきた。 「どうぞ」 「有難うございます」  おじさんは背中を向けて手元で何か作業していたが、一向に店長は現れない。 「あのーー。店長さんは」 「え? あーー悪い悪い。挨拶がまだだったね。はじめまして。店長の安永といいます」 ーーえ? あんたが? 「えっと、これね。名札。いまパウチしてたのよ」 「もうですか? まだ面接してないですよね。名前も知らないのに」 「坂上いぶきってあんたさっき言ったじゃない。名札は苗字だけでいいんだもん、坂上ったら坂の上しかないでしょ」  え、えぇーーッ? もう本決まりィ? 「あの、とりあえず履歴書を……」 「あーはいはい。ご丁寧に有難うございます」 そういって中も見ずにテーブルの端に置いた。 「あんたさっきそこ通ったでしょ」 「え、見てたんですか? 寝ていらしたようですが」 「フフッ。僕には目が3つあるから」 「はぁーー?」 こんなとこだけど明日から働くことになった。
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