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三人官女、追随
脱走した五人囃子を見て三人官女たちは話し合った。
「私たちだって安月給でこき使われてもう嫌」
「あの生意気なガキの五人囃子がデビュー出来るなら」
「三人でアイドルになれそうだよね?」
三人官女は示し合わせて退職願を壇の上に置き、バックレ同然で宮中を去った。
しかし宮中に仕え、世の世知辛さに疎い三人官女は、悪どいプロダクションに簡単に騙されてしまった。
地下アイドル『三人官No女』として、かなり際どいファンとの接触を売りにした、アイドル活動をさせられた。しかし、めげずに三人で肩を寄せ合い、慰め合って辛い日々を耐えた。着々とファンを増やし人気も出て、大手の事務所に拾ってもらえた。
やっとまともなアイドルとしてデビュー出来る。そう思った矢先、三人官女に悲劇が訪れる。大手事務所では、三人バラバラにされ、それぞれ別の大所帯のアイドルグループに振り分けられた。
三人一緒にアイドルになりたかったのに…。そんな思いも虚しく、大所帯のアイドルグループでの熾烈な順位争いに巻き込まれていく三人官女だった。
五人囃子と三人官女が脱走したどさくさに紛れて、随人と衛士も逃げてきてしまった。随人と衛士は、こちらの世界ですっかりアイドルにはまってしまい、アイドルオタクとしての生活を満喫している。
サクッと就職を決め、余暇をアイドルの追っかけに費やす姿は清々しいほど潔く、オタクの鏡。アイドルに浪費するには元手が要る、仕事もバリバリこなしていた。
郷に入っては郷に従え、随人と衛士が一番すんなりとこちらの世界に順応していた。
実はこの随人と衛士たち、宮中にいた頃から三人官女の隠れファンだった。三人官女を追いかけてこちらの世界に来て、アイドルになった三人を密かに支え続けていた。
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