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「どうして?」
それはサファイアと遜色ないほど青い瞳で少年を見つめる少女の人差し指だった。
歳は少年と同じ7、8歳くらい。キラキラ煌めくブロンドヘアーに桃色の星形の髪飾りが映えている。
少年のこれまでの短い人生の中にも、そして周囲の人間の中にもいない異質の存在。少年は一瞬で心を奪われた。
「みんな楽しそうな顔してるのに、どうしてキミは泣いてるの?」
言われて初めて少年は涙を流していることに気づき、慌てて海水で顔を洗い、ふて腐れるように言った。
「ニイちゃんが、いなくなったんだ」
「ふーん。キミ、迷子なんだ」
「違うよ。ニイちゃんが迷子なんだよ。だから探してるんだ」
「さっきから同じ場所で浮かんでるだけじゃない。もしかして、泳げないの?」
「うるさいなぁ……」
図星を刺され、少年のほのかな想いはあっさりと苛立ちに変化するのだった。
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