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人ごみに目をやった。
金魚や牡丹、アサガオに撫子。
赤やピンク、黄色にオレンジ。
華やかな世界で孤独を感じた。
「女子力高くて羨ましい・・・・・・」
夏奈はつぶやく。
「自然体で羨ましい・・・・・・」
深冬はつぶやく。
自分と比べた瞬間、嫉妬心が芽生えた。
そっと隣の男の手を少しだけ握る。
躊躇しながらも、それは直ぐに馴染んだ。
下心が芽生えた瞬間、男女間の友情は終わりを迎える。
「めんどくさい・・・・・・」
二人は呟いた。
目の前の情報からは何も得るものはない。
頭の回転は鈍くなり、不機嫌さだけが全面に現れようとしていた。
恋人繋ぎになる前に。
「ありがとう」
他愛もなく手はほどかれた。
「いつもの場所に行ってくる」
そう言い残すと彼女たちは振り返ることなく、人ごみに消えて行った。
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