芸術的に美しいあの子

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芸術的に美しいあの子

「今日も綺麗だね」  シックな印象の駅内のカフェ。カウンターに腰掛け、注文された美しいあの子に微笑みかける。カウンターにあの子が置かれた瞬間、俺の言葉を聞いた店員が苦笑いしていたのは気のせいか。シュワシュワと泡がグラスに貼り付き、緑の上に丸く可愛いあの子。いつも頼むと『あまりの美しさ』に見とれてしまう。しかし、時間と共にあの子は溶け、緑の液体の中へ消えてしまっても化学反応のように白と緑の色合いは嫌いではない。むしろ、弾けるような刺激が甘く優しいもの。その変化も誘っているようでいい。いつもはスプーンで崩してしまうが、今日は――。  ストローがぶつかり、カランッと氷が風鈴のような爽やかな音を鳴らす。空っぽになったグラスを見つけ、悲しげな顔。 「ごちそうさま。また、来るよ」  俺はそう口にすると、伝票を手にとってはレジへ向かう。今さらだが、――に向かって「綺麗だね」と言うのは変態だろうか。  何ってあれだよ。  ――クリームソーダのアイス――
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