1人が本棚に入れています
本棚に追加
「どこ? ここ」
そういえば落ちた先にいた多野屋くんにばかり意識がいってて、自分が今いる場所がどこかなんて、気にもしてなかった。
ぐるりと全体を見回してみても、見事に何もなく、ただただ上下左右全てが真っ白いだけの空間があるだけ。
あれ? でも何かここ、見覚えがあるような……。
妙な既視感に疑問符が浮かぶ前に、多野屋くんが声を上げる。
「あっ! あの、市ヶ谷さん」
「何?」
「……ごめん。きみがここに来たの、僕のせいかもしれない」
「え?」
マスクをしているからどんな表情かはよく分からないけど、目尻を赤くして、何やら申し訳なさそうに眉を下げているのは分かる。
最初のコメントを投稿しよう!