落下注意報

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「どこ? ここ」  そういえば落ちた先にいた多野屋くんにばかり意識がいってて、自分が今いる場所がどこかなんて、気にもしてなかった。  ぐるりと全体を見回してみても、見事に何もなく、ただただ上下左右全てが真っ白いだけの空間があるだけ。  あれ? でも何かここ、見覚えがあるような……。  妙な既視感に疑問符が浮かぶ前に、多野屋くんが声を上げる。 「あっ! あの、市ヶ谷さん」 「何?」 「……ごめん。きみがここに来たの、僕のせいかもしれない」 「え?」  マスクをしているからどんな表情かはよく分からないけど、目尻を赤くして、何やら申し訳なさそうに眉を下げているのは分かる。
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