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落下注意報
昔、何にもない真っ白な空間に迷い込んだことがある。
どうしてそこにいるのか。どうやって来たのか。どこから帰ったのか。何にも覚えてない。
だけど私はそこにいたとき、一人ぼっちではなかった。
名前も顔も分からない誰かが、ずっと一緒にいて、ぎゅうっと手を握っていてくれたんだ。
だから私は、ちっとも怖くなんてなかった。
私と同じくらい小さな手から伝わる熱と、何かをぶつぶつ呟いては泣きそうになりながら慌てているその人のことを、私は今でも覚えている――。
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