しらなみゆきの災難

01.さしすせそ

「ドリンクいただいて良いですか？　志田さん、コーラ？」
「うん。お願い」
「すみませーん。コーラと、レゲパンお願いしまーす」

ボトルを入れてくれれば、私も水割りかソーダ割りを頼むんだけど。
ノーボトルだから、私はカクテルをオーダーする。
レゲエパンチは仙台発祥のカクテルだ。

仙台発祥と言えば、牛タンと冷やし中華でしょ？
他にも本当か知らないけど、回転寿司とか、ルーズソックスとかもそうらしい。
ルーズソックスなんて、私が生まれる前だと想うんだけど、ネタに使える。

仙台は支店経済の街だから、出張や接待客も多い。
そういうお客に
「知ってますか？　ルーズソックスって仙台発祥なんですよ～」
「え？　ルーズセックス？」
「嫌だ、えっちなこと言わないでくださいよっ」
って流れで、太腿のあたりを掴んであげる。

「もう、酔ってるんですか？」
「いや、まだ酔ってないよ」
「じゃぁ、今夜は酔ってくださいね。ボトルは、これかこれがお勧めです」
割と高いお酒とまぁまぁのお酒を勧める。

で、わざと安い方を指差して
「ユメ、これで酔いたいな♪」
って言えば、オーダー決定。ちょろい。
安い方って言っても、決して安くないし。

そこですかさず、
「ユメ、フルーツ食べたいんですけど、頼んでも良い？」
相手は、ちょっと安い方にしちゃった負い目でOKする。
フルーツ盛り、原価の割に高いから店も喜ぶ。
私も店もお客もwin-win-win。

後はパインとかスイカとか適当に、あ～んってしてあげるだけ。
喰わせておけば、口が塞がって、喋んなくても良いでしょ。
あ～んってするだけで、めっちゃ喜んでるし。