しらなみゆきの災難

03.やっちゃった

久々の二日酔い。
昨夜は、六平(むさか)さんと飲みすぎちゃったな。

二重生活なのに、二日酔いとは、やらかし過ぎだ。
昼の顔と夜の顔。
OL（派遣）としての自分と、夜の蝶としての自分。

こっちに来て2か月だけど、身バレはしてないよね。
げ！飲み過ぎて、帰宅時の郵便チェックしてない。
どうやって戻って来たのかも覚えてない。
二日酔い・ボロボロの肌で集合ポストへ行くのは嫌だけど、出勤前だとバタバタするから、今行くしか。

入居者なのにキョロキョロしながら、ポストを開ける。
やった、頼んでいた美容系サプリが届いてる。
小さな白い紙箱には、私の本名が印字されている。
『しらなみゆき』
『白波優希』だと男っぽくて嫌なので、登録は平仮名。
私はもっともっと可愛くなりたい。

東京での生活に嫌気が差した私は、仙台に越して来た。
向こうの方が仕事は多いけど、満員の通勤電車は苦痛だ。
というか、人ごみが苦痛。

それにリセットするなら、過去の私を知らない場所が良い。
ここは、それなりに都会だけど、満員電車でもないし、家賃も手頃。
田舎の様に、過去を詮索されることもないから、私の様な人間には理想的。

夜の仕事は同じ境遇の子も多いし、何より本当の自分を解放できる。
そして、そんな私を指名してくれるお客さんも居る。
一言で表せば文字通り、『ユメの居場所』。