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「…いなく…なった?」
呆然とする僕の前で彼女が頷いた。
奈緒の名を聞きつけた僕は、とにかく話を聞きたいと彼女を部屋に引っ張り込んだ。
男二人の客室。
小菅春江という仲居は警戒心を顕に同僚の女の子の腕をしっかり握っている。
それもそうかと、廊下に面した襖は開け放ったままにした。
「彼女と…奈緒と旅館で働いてたの?」
「はい。三ヶ月ぐらいの間だけだったけどあの子すっごく頑張ってて。仲居仲間とも楽しそうにやってました。」
「そう。」
「…でも時々、変わった言葉を喋る子でしたね。」
その言葉に先生と二人で笑った。
春江さんの瞳が光る。
時代は違ってもやはり若い女性。奈緒と僕たちの関係に興味津々に身を乗り出した。
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