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二〇一九年、八月十五日。
「あ、来た」
コンクリートのツンとした匂いが漂う駅の改札近く。
人混みの中から近しい面影が浮かび上がって近付いてくる。
この前、インスタグラムで着ていたのと同じグレーの半袖ワンピースだ。
ああ、またか。私は敢えて被らないように彼女のインスタグラムでは見掛けなかった水色の半袖ワンピースにしたのに、服の型といい、淡い色合いといい、やっぱり二人で似通った服装になった。
そこにいつもながらの軽い失望と奇妙な安堵を覚える。
「こっちだよ」
手を振って呼び掛けるこちらの声に相手も眼差しを向けた。
「お久し振りです」
キャリーケースを転がしながら近付いてきたアニタは微笑んで私と母に告げた。
「久し振り」
目線の高さもほぼ同じ相手にこちらも笑い掛ける。
香港人の彼女は二十歳、日本人の私は十九歳半。
祖母同士が一卵性双生児なので血縁としては再従姉妹に当たる。
しかし、たまにこうして顔を合わせると、年子の姉妹か双子の片割れのようにもっと近しく感じられるのだ(年子や双子の姉妹はいないけれど)。
――ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン、ヒュウウー。
ホームのある上階では新幹線がまた新たに発ったらしい。
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