マニキュア

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爪の色が人よりおかしいと気づいたのは電車内での向いの人のサンダルに目を向けたとき。 きれいなサーモンピンクな爪と自分の足先の爪を見比べながら肝臓の色に似てると憂いな表情を浮かべた真夏の昼過ぎのことだった。 手の甲にある爪は薄桜色の淡い色でとても綺麗であるのに何故、足の指は気味が悪い色をしているのだろうか。 気づけば偽物の色で自分本来の色を隠していた。 赤や黒、あまり派手すぎるものを着けると意気込んでいる女だと思われる為、わざと淡い色にする。するとどうだろう。自分の色が微かに見えているではないか どうせ靴下を履くものだから誰にも見られやしないと考えるが仮に、足に怪我をして靴下を脱がざる終えない状況にとその可能性の妄想を掻き立てる。そんな事に振り回されている自分がたまらなく滑稽で愉快だ 結局の所、落としてからまた塗るのを反復し、解せない気分になる真っ昼間 ある意味、メイクアップの一種と同じだろう。自分の顔を隠す、自分の爪を隠す 人に見せようと思っているわけではないが良くはない"面"を良くしようとしている乙女心。 ひどく無知で可愛いらしい。 外に出かける度に自分をよく見せようと少しでも可愛らしくと思い無意識の内、厚化粧になる。爪も然り。知らず間にデコレーションがしてあるのだ 除光液で辛気臭くなりながらも落としつつシンプルな色を塗る毎日を送る 面倒臭くはないかと問われると正にその通りではあるがそんな自分に溺れているバカな女の話。
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