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こんな人通りの少ない日曜日にも、電車が動いていて、踏切によって止められる車も多々あるわけだが、この設備も来年あたりには出費のためにやりきれなくなって取り払われてしまうのだ。小さな町の山林やひどくいたんだ道路も、この村をたらしめるものである。木陰や草木の匂いはとても落ち着くものだったが、虫の羽音が嫌いな私は、足を運んでまで自然と触れ合う機会をつくろうとは思わなかった。しかし、どこにいようが草が茂っているので、自然と関わらないというのには無理があった。が、太陽をさえぎっている並木道は、今の季節でも涼しいもので、さらに鳥のさえずりや葉擦れに耳を澄まし、そぞろあるきしていたら、童心をくすぐられている気がしてならない。気がつけば心の一部になっていたのも、そこまで驚きはしなかった。とはいったものの、余所者にとっては、茂りすぎであり、交通の便が悪い地域にすぎない。
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