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「やあ、やっぱりここのタマゴサンドは絶品だねぇ!」
「お、おま、お前〜っ!」
「相変わらず脇が甘いなぁ二階堂刑事。非番だからって油断はいけないよ」
「盗人たげたげしいな」
なつめの言葉も「俺のタマゴサンド……」と尊の嘆きにも動じず、知成は「クリイムソーダ1つ」と注文を入れる。
「それでどこ行ってたんだ?」
斜め上にある知成の顔を咎めるように見る。
「少し下見にね」
「下見?」
怪訝そうな顔のなつめに、知成は「私だってやる時はしっかりするんだぞぅ」と口を尖らせた。
「地道に証拠を集めて突き付けるなんて面倒な事しなくても、現行犯で捕まえた方が早いし楽だろう?」
知成は仰々しく肩をすくめる。
「いかに私が名探偵であっても、証拠がなくては犯人逮捕には繋がらないからねぇ」
尊が「迷惑探偵の間違いだろ」と恨めしげに言った。知成のせいで空になった皿を見て申し訳なくなったなつめは、自分の皿からそっと1切れ移してやる。
「そういう事だから、2人とも手伝ってくれるだろう?」
断られることなど微塵も考えていない笑みは曇りなく、それでいて悪魔的だ。助手のなつめや警察官の尊が断れない事を解ってやっているに違いない。
頷きながらもなつめは、この後に出てくるだろうクリイムソーダを奪い取ってやろうと心に決めた。
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