最後の受付

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 そこは、自分の働いている場所とは違っていた。カラオケボックスの指定された場所に入った。正面の壁には、扉があった。  こんなところ従業員にしか分からないであろう。  扉を開け、階段を降りていくと自分の仕事場と同じ風景だった。  扉の前には、無愛想な三十代に見える女性が一人座っていた。武蔵は、自分もこんな感じで座っていたんだろうと思うと、少し寂しくなった。  この女性もいずれ、この扉の先が気になるのだろう。  受付の人とは、日にち以外話さないでください、と念を押されていたので、年号と日にちだけ淡々と言う。 「20○○年 3月4日です」  そう言うと、無愛想な女性は無心に年号を打ち込み、扉を開ける。  中に入ると長い廊下が存在していた。足元にしか光がない。一定に光るそのライトは、武蔵の心臓の高鳴りを一層に大きくさせた。  先にもう一つ扉があるのを見つける。  『あそこを開ければ、過去を変える事ができる』  そんな一心で、足を一歩一歩噛みしめるように踏み出した。
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