最後の受付

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 武蔵は、川の土手で寝転んで考えた。結局、過去なんか変えることは出来ない。そんな簡単なことじゃない。イライラして、土手の草を千切った。  しかし、やはり気になった。腕時計を見る。  18時50分  あと、もう少しであの事件が起こってしまう。どうしてもいてもたってもいられなくなった。  走った。この何年か本気で走った事がなかったが、本気で走った。  実家が近づいて来るたびに、何度も止まろうと思った。しかし、どうしても気になった。  実家の目の前に着く。  言い争いの声が聞こえる。結局、変わらなかったのかもしれない。  しかし、言い争いはすぐ終わった。すると、玄関から高校生の武蔵が飛び出して行った。  あれ、こんな事あったか?と、武蔵は考える。  あの後は、救急車が来るまで家でいたはずだ。どう言う事だ。  家からは父親と母親の声が聞こえる。 「お父さん。あの子の気持ちもわかるんでしょ。痛いほど。あなたも、若い頃は夢目指してたんだから。バンドやるんだ!って家飛び出したくせに」 「だからだよ。あいつには俺と同じ道を歩んでほしくはない」  武蔵は、身動きをとる事が出来なかった。  目から涙が洪水のように溢れ出して来た。僕の一時の感情で父親のこれからの人生を無駄にしてしまったなんて。  武蔵は、後悔はなかった。これだけのことを知れただけでも満足だった。
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