最後の受付

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 19時10分  武蔵は、実家から離れるようにあてもなくトボトボと歩く。  これで、俺の未来も明るくなるんだろうか。  すると、前に交互に出していた手が見えなくなった。手から徐々に消えていく。過去を変えてしまったから、今の俺ではなくなるのだろう、と武蔵は思った。しかし、これで良いと思っている。  これから親とは、上手くいかないかもしれないが、親の愛を少しでも知る事が出来た。だいぶん年をとって恥ずかしいが。自然と笑顔が溢れた。    武蔵は、新しい未来を頭の中で描きながら目を瞑った。  目を覚ます。見上げると、真っ白な光景だった。  腰から上を立ち上がらせ、周りを見れば、すべての壁が白かった。  目の前に目を向ける。  鉄格子が目の前に見える。 「3459番 朝ごはんだ」  そう行って、刑務官がご飯を檻の中に入れてきた。 (了)
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