最後の受付

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 願っていた時こそ、反対のことが起きるのが人生というものだ。扉の外から音がした。ゆっくりとした足音である。  扉を開け、男性が入ってきた。歳は、三十代と言ったところだろうか。  髭は綺麗に剃ってあり、見た目より若く見せようとしていることが見てわかる。目は綺麗な二重で、整った顔をしている。身長は、170センチ後半だろうか、高めである。  武蔵は、声も聞いていないのに、この男に違和感を感じた。  それは、ここにくる人々とは違い、全く嬉しそうにしていないということである。顔は下向きがちで、猫背気味である。しかし、悲しそうでもない。  このなんとも言えない表情の男に少し動揺しながらも、武蔵は平然を装った。 「西暦と月日言うだけでいいんですか?」男は不思議そうに聞いてきた。 「はい」武蔵は答える。 「じゃあ、昨日で」 「え」 「いや、だから昨日で」 「あ、はい」  今日は西暦何年の何月かわからなくなった。武蔵は、あまりニュース何も確認しないため戸惑っていると、男が 「2073年8月24日でお願いします」 と言ってくれたので助かった。  ホッとしたのも束の間、昨日と言われたことに戸惑いを隠せなかった。しかも、そんなにも年月日に興味を示していなさそうでさらに不思議に思った。
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