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「あの、こんにちは」
「こんにちは」男は少し驚いたような顔になった。
「僕、覚えてますか?」
「いえ…、どこかでお会いしましたか?」
「そうですよね。あの、喫茶店『へコカ』の地下の扉の前にいたものです」
「あー、あそこの。何か御用ですか?」一瞬安堵したが、すぐに不安そうな顔になる。
「あの、あそこの扉に入るにはどうすればいいんですか?」
「え?」
武蔵は、自分が何も知らずに働いていること、あなたが初めてあの扉から帰ってきたことを説明した。
「僕はただ何もしなかっただけです。それだけなんです」
そう言って、名刺を渡してきた。
『株式会社 未来創造カンパニー BC』
その名刺には、そのように書かれていた。そこには電話番号も載っている。
「気になるようだったらそこに行くといいですよ。僕、これから用事なんで」
そう言って立ち去って行った。
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