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もしかして、私が近付いたから開いたの……?
そんな考えが頭をよぎった時、学芸員のお姉さんと一緒に館長らしきお爺さんがやってきた。白い髭を長く生やし、杖をついている。
「その箱を開けたんは誰じゃ」
ギロリと目玉を動かしながら低い声で尋ねてくる。うわぁ怖い。
「誰も触ってないのに勝手に……」
同級生の誰かがボソッと漏らした言葉に、館長らしきお爺さんは瞬時に反応した。
「それはわかっとる! この宝箱は千年に一人の少女が近づいた途端に開くんじゃ。誰が近づいたかが知りたいんじゃ!」
噴水の傍のベンチで話しているとき和歌ちゃんが「予言に関するものが貯蔵されてる」って言ってたっけ。この宝箱がそうだったんだ……。
周りの同級生は、様々な反応だった。目を丸くして驚いている子もいれば「千年に一人の少女って?」と首をかしげている子もいる。
「ここにおる学生さんのどなたかじゃろう?」
鋭い視線でぐるりと見渡す。
館長らしきお爺さんと目線が合いそうになり、慌てて逸らした。
同級生の中では、私が宝箱から一番遠くにいたんだよ。たまたま私が近付いたタイミングだったってだけだと思う。私なわけないよ。
「まあ、ええ。じきにわかることじゃ」
「……?」
意味がわからず、ただただ呆然としていた。
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