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「何の騒ぎだ? 喧嘩かぁ?」
さっきの悲鳴が聞こえたのか、裏口から男が三人出てきた。
蛍光オレンジ、蛍光ピンク、蛍光グリーンと全員派手な色のツナギを着ていて、鉄パイプのような長い棒を持っている。
ヤンキーだ、喧嘩強そう……!
お兄さんは立ち上がって、ケースに仕舞いかけていた竹刀を再び取り出した。私もつられて立ち上がる。
ツナギ姿の男たちは、地面に横たわって気絶している前髪が長い男を見るなり、ブチギレた。
「テメーら、俺らの大事な連れに何してくれとんじゃァ!」
私とお兄さんにじりじりと近付いてくる、ツナギ姿の男たち。建物と建物に挟まれた窮屈な小路のため、かなりの圧迫感だった。
「危ねぇから下がってろ」
完全に威圧されている私にお兄さんはそう伝えると、竹刀を構えた。
まさか一人で戦うつもりなの? 三対一なんて無茶だよ!
「なめんじゃねーぞオラァ!」
蛍光オレンジのツナギを着ている男が鉄パイプで、お兄さんの頭を攻撃してくる。
「危ない逃げてッ!」
思わず声が出た。
ところが、お兄さんは攻撃をひらりとかわして竹刀で胴を打つ。
「ぎゃあああああああああ」
本日二度目の悲鳴。その男は手に持っていた鉄パイプを落とし、打たれた部分を抑えながら倒れる。
え……サラサラ黒髪お兄さん、めちゃくちゃ強い!
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