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明るいバスルームで、ライディン
グシューズの底分、少年は小柄に
見え、焦茶色の瞳には若い力が宿
って、色白の顔にわずかに雀斑が
ある。
「僕はどう見える?」
大貴は右手を伸ばし、少年の片方
の丘に触れた。
陽は唇をわずかに開いて瞳を閉じ
「アマチュアのビギナー」
まるで素人の初心者のように大貴
の肩に頭をもたせかけた。
「うん。たぶん君の方が
場数を踏んでる…」
「どうかな? 経験って、
数じゃなく質じゃないですか」
少年の細い指が、背を這って大貴
の窪みに忍びこんで来て、大貴は
左手で少年の手首を掴んだが、少
年の頭髪からしたたる洗髪液でぬ
めり、差しいれられた指を抜くこ
とが できない。
「無理強いは好かないん
じゃなかった?」
「力づくは嫌いじゃない
って言いましたよ」
「そりゃ君がだろ? 今さっき
NG集発表したよね、指一本
差させないって…」
「うまい。この状況でその
表現はパーフェクトですよ」
(多分…からかわれているか
試されているかだろう)
と大貴は思った。
「そりゃどうも。抜いてくれ。
いや、指を突っこむのを
止めてもらえないかな」
「アナルセックスは
スカトロじゃないです」
「分かった。いや、分かってる。
君の自論を支持する。
でないと君の趣味と、これから
僕がやろうとしてることに
折り合いがつけられない。
それは…分かってる」
陽は、大貴に差しいれていた丈高
(中) 指を抜き、親指の腹を噛んだ。
どうやらこの行為は昂った気分を
抑える時のこの少年のクセらしい。
濡れたからだを、大貴から引き離
して
「気に障ったんだったら謝ります」
陽が気持ち頭を下げた。
「そりゃ痛みいるね。気に障った
というよりは驚いた」
16才の少年にレイプされかけた
とは思いたくもなかった。ここは
パートナーの無遠慮が過ぎた、と
解釈するのが穏当だろう。
「左利きなんですね」
少年は言って微笑んだ。
「陽くん、もう上がろう。
のぼせちまう…」
それぞれからだを拭き上げた後、
バスタオルを腰に巻いて歯を磨き
ながら、大貴は鏡の中に2年前の
自分を見ていた。
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