シリウスの伴星

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「700億年で1回転? 根拠はあるのかな?」 「根拠はありません。 ありようが無い」 「そうか、700億年となると 観察者がいない」 「でも、事情がある」 「事情?」 「美しいから。()しきものは 間違わない。そういう事情。 俺は今、楽しくさせて もらってるけど、なにか事情が あってヒロさんが楽しめない っていうなら、少し時間を おくか、日を改めて」 「進行させよう」 言って、大貴は、これはあの時、 天羽が発した言葉だと気付いた。 あの後。 「失礼!」 言いざま天羽は大貴を抱えあげ、 ベッドに放り投げた。 男を姫抱きするのは初めてだった。 次いで、犬科の動物に似たしぐさ でベッドに飛び乗り、大貴の瞳を 見据え、大腿部を容赦なく膝で押 し拡げて鼠蹊部を(あらわ)にし 「ぐずぐずしてると イニシアティブ俺がもらうよ」 右の掌をシーツの上に滑らせた。 大貴の左手が天羽の手首をつかみ、 指先の行く手をとめた。 「こっちも進入禁止か。 半井、誰かに(みさお) たててるとか?」 半分ジョークだったのだが、図星 だったらしい。こう、うろたえら れるとは思わなかった。クールビ ューティーもだいなしだ。 「そういうのではない…彼は…」 おまけに、こっちはなにも訊いて いないのに、ひとりで墓穴(ぼけつ)を掘っ てる。 「あんたが左利きじゃなきゃ俺、 今ヤッてた」 すると、いきなり肩をつかまれ、 組み伏せられ、上半身をシーツに 押しつけられて入りこまれていた。 (いつの間にチェンジアップ しやがった?) 文字通りの抜き打ちで、スポット に深く食いこみ胃が突きあげられ た。 腰を抱かれて差し引きされ、穿た れた穴に担い手の柱がスキッドす る生っぽい音が背後に聞こえた。 それに陽極の根元が陰門に密着す る時のかすかなバースト音。
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