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別れの季節
三月中旬、所々で桜の花が咲き始める季節。大学の卒業式と送別会を終えた私は実家に帰る為、電車へと乗り込んだ。荷物は赤い手提げの小さな鞄一つだけ。ほとんどのものは、もう既に実家へ送っている。最終電車であるせいか、中に乗っている人はまばらで、私は適当な窓側の席に座った。暫くして、電車は滑らかに出発する。窓の外には住宅街の家々の明かりと、路地に等間隔に立っている外灯が見えた。流れ行く景色を眺めながら、私はふと四年前、この街にやって来た日も、この光景を見たのだと思い出す。
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