嗤う痴漢

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 ポスターを眺めていると、後ろから視線を感じた。  見られている。そっと窓を眺めると男と視線が合ってしまった。私は顔をしかめると、その男は笑った。  男はそのまま私の頭に鼻を近づけ、そして満面の笑みを浮かべている。 ――またか、この男!  この男と会ったのは初めてではない。乗る時間も、車両も変えているのに、2・3日もしないうちに私を見つけては、こんな嫌がらせを繰り返してくる。  ふざけた男だ。ふつふつと怒りが沸き起こり、私は男に再度視線を向けた。
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