6人が本棚に入れています
本棚に追加
「もう、わかんないよ。とにかく…降りて!」
私は男の手を力いっぱい握りしめると、そのまま電車の出入り口へと向かった。このまま突き出してしまえば、この男とのうんざりするやり取りも終わる。
車内は相変わらずざわついていた。これだけ私がひどい目に遭っているのに、どうして誰も救いの手を差し伸べてくれないのだろう。
これが、都会と言われればそれまでだけど、あまりに冷たいし世知辛い。
私は泣きそうになりながら窓を見ると、そのまま足が竦んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!