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『サバクツノトカゲ』
「サバクツノトカゲって知ってる?」
そう言って彼女は、僕が吸っていたタバコの火を消した。話を聞いていないのがバレたのかもしれない。
「知らないや」
「名前通り、砂漠地帯に住んでるツノを有したトカゲなんだけど、ある特徴があって」
「どんな特徴?」
「血の涙を流すの」
「グロいね、何のために?」
「何のためだと思う?」
「わかんないや」
「単純よ、威嚇のため」
「ほー」
「でも私違うと思う」
「え?」
「きっと、苦しみをわかってほしいから」
「苦しみ。。。」
「想像してみて、砂漠でひとりぼっち、昼は暑くて、夜は寒くて、太陽も月も容赦がないのよ」
「そりゃ大変だ」
「。。。」
「ん?」
「あなたは、血も涙も無い人ね」
「。。。」
「私と別れて」
今でも僕は彼女を思い出す。あの日から僕はよく泣くようになった。
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