色なき風の頃

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既に9月は過ぎ、10月の三連休には文化祭、体育祭と、生徒たちは、なんとなく忙しそうに、ざわついていた。 9月2日…空けておいてほしいと言ったのに、キャンセルの電話があったのは前日だった。 苦しそうな声に聞こえた。 それきり、涼也からは何の連絡もなかった。 秋季大会にも来なかったのか、悠真君に、兄さんはどうしてる?とか、何気に聞くことも出来ず、自分からメールするのも躊躇われた。 思い余って掛けた電話に出たのは柊木塁だった。 「涼也?おかえり…」 「え?誰?早橋君?涼、今シャワー浴びてるから。それに、俺ん家だから、電話はしな…」 言葉の途中で切ってしまった。 心臓がドキドキしていた。 涼也が本当に、 柊木塁の部屋に居るかどうかはわからない。でも、携帯に出られる近い距離…一緒に居ることはわかった。 思い出せば、身体のあちこちに涼也を感じることが出来る。 繋いだ手も、髪に触れる指先も、耳元で囁く声も、重なる唇も。 そして、太陽みたいな笑顔。 ずっと、僕だけに向けられていたはずの、涼也の笑顔…。 先輩でバッテリーで、ただそれだけ。と、涼也の言葉を信じていればいいだけ… なのに…。
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