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まるでご神託のように浮き出るという面白さに惹かれ、大は一枚買ってみた。
水占みくじという名前と、そこに運勢が浮き出ると思われる丸枠や、各項目の本文が出る四角の枠は黒線で印字されているが、それ以外は一文字もない。
不思議な紙、と手に取って眺めていた大だったが、それを持つ指の感覚に妙な馴染みを覚えて、やがてそれは、一つの閃きへと変わっていった。
「ひょっとして……」
忘れぬうちに、と大は水占みくじの紙を持ったまま三人のもとへと駆け寄り、
「輝孝さん。今朝のお手紙って、まだ所持されてますか?」
とせがんだ。
向こうからすれば突然の事で、輝孝はちょっと驚きつつも、
「坂本さんに預けてますけど……」
と、塔太郎に振った。
「塔太郎さん」
「これやで」
大の視線に何かを感じ取ったのか、すぐ、彼の懐から例の手紙が出された。
「すみません。ちょっと、拝見します」
戸惑う塔太郎達をよそに、自分の持っている水占みくじと、輝孝の手紙とを比べる。
間違いなかった。
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