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「大ちゃん? どうしたん」
「――同じです」
「何が?」
「このおみくじと、輝孝さんのお手紙の材質が同じなんです」
「ほんまに?」
弾かれるように、塔太郎も指で丹念に触る。すると、彼も気づいたようだった。
「確かに……。紙の濃淡の違いはあるけど、手触りは一緒や。旦那様と輝孝さんも、持ってみて下さい」
「えぇ? そんなん分かるか? ……あぁ、ほんまやな。厚さもほぼ一緒や」
「まさか、この手紙が……?」
水占みくじは、水に浮かべると文字が出るという特殊な紙である。その辺で買える便箋とは訳が違い、とすると、記憶を失くす前の輝孝が、わざわざこの紙を業者に特注したという事になる。
その意図は一つしか考えられなかった。
「水や!」
辰巳大明神が嬉々として叫んだ。
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