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「京都で、絶滅種っていたんやな。……そうか。一、〇、三、四で『とみよ』や。旦那様の言う通り、輝孝さんの正体は魚で、という事は沙美さんも? ――って、旦那様! 何で早くおっしゃってくれへんかったんですか。せめて俺にだけでも、耳打ちして下さればよかったのに」  塔太郎が困ったように言うが、辰巳大明神は相変わらず飄々としていた。 「あー、すまんすまん。君らに謎解きさしたろう思ってたんや。遊び好きの性っちゅう事で、勘弁しといて。せやけど、もうはっきりさしたいし、さっさと奥宮へ行こうや。あっこやったら、人も少ないからすぐに参拝出来る。高龗神やったら、輝孝さんを元に戻してくれるやろ。――輝孝さん、構へんな」  彼が訊くと輝孝も、 「はい。ここまで来たんですから、お願いしたいです。沙美という存在の事も、気になりますから」  と、小さな覚悟を見せていた。
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