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「今のは、一体……。あっ。塔太郎さん! 大丈夫ですか?」 「うん。そっちは?」  大が気にするまでもなく、彼は余裕そうである。後は輝孝の様子だけだが、状態は芳しくなく、耐えるように肩で息をしていた。 当然、大も塔太郎も焦ったが、辰巳大明神だけが涼しい顔をしており、 「記憶が全部戻って、しんどいんやな。綺麗なお水、もうとき」  と言うのと同時に、本殿の中から、今度は巨大な水の龍が現れた。 先程の粘土など比べものにならぬ程大きく、水で出来た体の透明度は、幾重にとぐろを巻いても向こうが見渡せそうである。 「ちょっと失礼しますよ。今、治すさかいね」  高龗神の言葉が、龍の口から発せられる。この水の龍こそが、高龗神の姿らしい。 龍は頭を天に向けて体を伸ばし、そのまま下へ曲げかと思うと、間髪入れずに輝孝を飲み込んだ。まるで細長い水槽に入れるかのように、彼を腹へと納める。  大と塔太郎は驚きつつも高龗神を信ずるしかなく、透明な腹の中でもがく輝孝は、こちらを見つめて気泡を一つ吐いた後、ふっと姿を消してしまった。 「輝孝さん!?」
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