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「坂本さん、古賀さん、辰巳の旦那様、そして高龗神様。本当にありがとうございます。長々とご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした。自分は確かに、ミナミトミヨが人間に化けたものでございます。両親も祖父母も、皆そうでした。そして……記憶喪失は、僕自身が招いたものなんです」  清らかな水に抱かれた輝孝は、その後、高龗神の外に出て人間の姿に戻っても、記憶も体も正常だった。 高龗神に全員で丁重にお礼を言い、少しばかりの休憩を挟んだのち、大達は貴船神社を後にした。 その途中、輝孝は今度は自分のスマートフォンで沙美に電話をかけた。兄妹の会話がしたかと思うと通話が終わり、輝孝は安心したかのような微笑みを見せていた。 京都市街へ帰る道中、輝孝は自分の種族ミナミトミヨの事や、自分達が今日まで歩んできた経緯、沙美の事、そして肝心の、記憶喪失となった原因を少しずつ語ってくれた。
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