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「だから、二人の結婚費用は沢山出してやりたいんです。それを整えるために、給料のいい今の会社に転職しました。ところが……そこの同僚に、変な奴がいたんですよ。覚えてますか? 錦天満宮で記憶を思い出した時に、同僚に笑われたって言いましたよね。そいつの事です。岡倉といいます」  輝孝の説明によると、岡倉は性格が良くなく、他の社員からも評判の悪い男だった。  ビジネスの話をすれば顔が広い事を仄めかし、学生時代の話をすれば、犯罪すれすれのやんちゃ話を披露する。 とりわけ後者の傾向が強く、喧嘩は朝飯前だの知り合いに暴力団がいるだの、さらには霊感も持っていて、地縛霊を倒せると豪語していたらしい。 仕事は出来るが、とにかく自分を強く見せたい質で皆辟易し、輝孝も距離を置いていたという。
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