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 奥宮は、大達がいた場所よりもさらに上流、神社全体の最奥部にある。 祭神は本宮と同じく高龗神だが、一説には闇龗神(くらおかみのかみ)とされる。 日本神話の、三つに斬られた軻遇突智(かぐつち、漢字は貴船神社のパンフレットに合わせています)の一つから生まれたのが高龗神、滴る血から生まれたのが闇龗神である。とはいえ、基本的には同一の神だった。  参拝するには少々遠い場所にあるためか近づくにつれて観光客は少なくなり、赤い門をくぐって現地に着くと、広場のような境内に本殿や末社などがぽつんとあるだけだった。 派手さはないが、耳をすませば貴船川の流れる音、周囲を見渡せば青もみじをはじめとした山の清々しさが境内を抱いている。  大達四人は本殿の前に立ち、所作も正しく参拝した。手を合わせて一礼したあと、辰巳大明神が本殿に向かって呼びかけた。
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