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lesson、2
月曜の昼休み、ざわつく教室の奥にたむろする男女、クラスからもちょっと外れた存在、派手な化粧、ネイルもバッチリの女子、男子はだらしのない恰好、いけてると思っているらしい、まあ、それなりにいい顔をしたのがそろっているからよけいに派手に見える。ピアスに、派手に染めた髪、腰のアクセサリーがジャラジャラと音をたてる。
教師達も一度は注意するもそれ以外は言わない、進学校、それだけで教師達は目をつむる、頭のいい子たちとは三年になれば嫌でも差がつくようなシステムになっているからだ。親たちは不良という、みんなもちょっと離れる。二年になったばかり、一年の時の悪(わる)がたむろする教室になっていた。
(いい大人があいつを守る?そういや、あいつと話なんてしたことなかったな。)
「健一―何考え事?」
女が後ろから抱き着いてきた。
「いや、別に」
「なにこれ?」
小さなポーチを手にした。中を開ける。
「さわんな!」
「いいじゃんよ」「なんだこれ、金属?」
横から来たダチがそれを取り上げた。Y字型の変わった棒、音楽をやる奴は一目見ただけでわかるものだ。
「返せ!」
男から奪い取りポーチにいれると制服のポケットに入れた。
「勝手に人のもん触んな」
「いいじゃーん」
「ねえねえ、今夜さ、みんなでファミレスでさあ」
「ごめん、オレ今夜アリありでさ」
机にだべりながら、ガタンガタンと動かした。
「へー、珍しいな、そういやあ、お前三年とつるんでねえか」
「うん、ちょっとな」
「なんだよ隠し事か?ケンちゃんらしくねえの」
「実はさ、ちょっとやりたいことがあって先輩たちとつるんでるんだ」
「えー、それじゃあ、遊べないの―」
「わりーな」
目線を女の方に向ける、前の席の女子と何か話してる。首に腕が回ってきた、耳元で言う。―お前さ、さっきから誰の事見てんだよ。
「いや別に」
―へー、ダブル山田どっちを見てたのかな
ーへえ、あいつらどっちもいいじゃん
あの女はボブスタイル、もう一人は髪を二つに分けている、髪の毛を耳に掛けた。こいつが言うように確かにいい女だと思った。
―あいつらも、仲いいよな、苗字が一緒っつーだけでさ
―ほんとだいい面してんじゃん
「あの子たち中学からずーっと一緒だもん」
「聞こえてた?」
「うん、もう、何考えてんのよ」
「いてて、俺の女はお前だけ」
耳を引っ張られ俺に回していた腕が女の首に回る。
「なあ、このクラスには同じ中学の奴いないのか?」
「いないよ隣に男子で一人いるけど」
「それ誰?」
「確か川上じゃなかったっけ?」
ガタンと机から手を離すと俺は隣の教室へと向かっていた。
「おい、ケン、昼休み終わり」
ざわつく教室、原が顔を出した、教室の空気がぴんと張る。
「川上ってどいつだ?」
―窓際の前から二番目
つかつかと進み、本を読んでいる男の横に立った
「お前、川上か?」
「あ?ああー」
いかにも真面目そう、メガネを直しながら上を見上げる。
「放課後空いてるか?」
「ま、まあ」
「ちょっと聞きたいことがあるんだ、屋上の踊り場で待ってる」
―な、何だあれ
―隣の、原でしょ、川上君何やらかしたの?
―あんまりいい噂利かないよね
「授業はじめるぞー」
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