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知佳ちゃんちょっと待って。
「メール?川上君から?」
放課後下駄箱の前、立ち止まって携帯を覗き込む、彼女を待った。
「今日一緒に帰れないって」
「そう、じゅあ一緒に帰えろっか」
「でも、バイトは?」
「いいよ少しぐらい遅れても、メール入れとくし」
彼女、山田あゆみ、私の大事な人だ。親友なんて簡単な物じゃない、もっと大事で大切で、家族以上かもしれない。
階段を上ってくる川上が見えた。俺は階段に座ったまま見ていた。
「な、なんだよ、話って」
メガネを直しながらそわそわ、落ち着きないな。
「そんなにきょどってなくてもいいよ、お前、山田たちと同じ中学だった?」
「お前に言う必要ないと思うけど」
急に口調が強くなって、背筋がぴんと張ったような気がした。こいつも何か隠してやがる。
「知佳、あいつ、いじめられてたのか?」
「昔のことだ、関係ない、それだけか?」
関係ない……か。
「あ?ああ」
川上は帰ろうとした。
「なんでみんなあいつを守ろうと必死なわけ?」
「俺は、あいつのことは知らない」
背中を向けたまま返事をしながら降りていく。
「ふーん、でもさ、お前らの中学から三人っておかしくねえか上も下も十人以上入ってんのによ」
足が止まった、きつい口調、低い声が響く
「何が言いたい!」
「いや、俺が口さえ閉じてれば何にも起きないって言われてさ」
「・・・知佳の叔父さんか」
「へー、やっぱりしってんだ」
「有名なミュージシャンだ、親の代なら知っていて当然だ、じゃあな」
そういうと階段を下りて行った、一度もこっちを見ることなく。
ヤナやつ!
「チッ」ポケットを握った。
―はあ、はあ、あゆみー、知佳ー
振り返ると、後ろから川上君が走って追いかけてくる、私達は立ち止まって待った。
「はあ、ごめん、遅くなって」
「用事があったんじゃないの?」
「うん、すんだ、なあ、知佳?」
原っているだろう、あいつ俺たちの事何か探っているぞと言われた。
「うそ‼」
びっくりしているあゆみ、川上君がまっすぐ私を見る。
「あゆみの事は俺が守る、でもお前は」
「あのね」
昨日、三年生とうちのスタジオかりに来ていた。
「油断してた、ごめん」
「大丈夫だよ知佳ちゃん、今年のコンクールまでは私たちが守ってあげるからね」
「ありがと、あゆみ、川上君、迷惑かけてごめん」
「俺は迷惑なんて思ってないよ、何かあったら言えよな、俺らは同志なんだから」
「うん、ありがとう」
「バイト行けよ、叔父さん達によろしく」
行ってきますと手を振って別れた。
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