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ねえ、この頃あの人知佳ちゃんの事ずっと見てない?
気にしちゃいけないって川上君に言われてる、見て見ぬふり、いい絶対目なんか合わせちゃだめ。
あゆみにゴールデンウィークの予定を話す。すごい人が来るらしいと、そしてお店に泊まり込みになることを教えた。
「へー、何年ぶり?誰かな、大物歌手とか?」
三年ぶり、あの時は焦った、叔父の知り合いという事で来た歌手は三日スタジオを借りて行った、こんなことはちょくちょくある、本物が来ることで店の名前もあがるから、叔父たちは忙しくても、こなしていった。
「叔父と叔母の友達だったらすごい人がいるんだ」
誰、誰?と身を乗り出して聞くあゆみ。
ザ・ピースって言うバンド知ってる?知ってる、テレビなんかにも出て有名だよねと言われた。実は昔叔父と叔母はそのグループの一員だった。結婚式の時歌ってくれたかっこいい人たち。
「その人達が来るの?」
まだわからない、秘密、でも誰が来るかわかんないけどやることはいつもと変わんないから。
「ハハハ、掃除おばさんてか」
「そうそう、それと飯炊き女」
キャハハハ
「どうしたの?」
何でもない。笑う二人を見ていた。
「何でもないって、あの子たちばっかり見てるじゃん」
机に覆いかぶさって上目ずかいに女を見上げた。なんかコイツけばくねえ?
「だから、関係ないって」
「なによそれ、浮気するき?」
毎日見ていたのに急に冷めたような気がした。
「ハア?お前、俺の事・・・めんどくせ」
「何、健ちゃん、女あさってるのかよ」
「ちげーよ」
「聞いて、浮気しようとしてるのよ?」「お前、別れたって言ってなかったか?」
「え?なんの事?」「エー違うの私ケンちゃん狙ってるのに」「そんなこと言ってない?」
うぜー、だめだこいつ
「ハア?俺、お前とはやってけないわ」
「なにーそれ?」
「別れるって言ったのお前だろ、キショいんだよ」
「な、何それ―」
「うぜーよ、あっちいけ!」
「あーあ、泣かせちゃったよ」「いこ、教室もどろ」「何カリカリしてんだよ」
ホットケ。
「健一、連休、やるんだろ?」
「ごめん、俺先輩たちと約束あるから」
「バンドでしょ?文化祭で出す」
「まあ、だから練習しないと」
「へー、まじめだねえ、付き合いだけなら、俺らとつるんでてもいいんじゃねえ」
「でも、ちょっと、マジでやってみたいんだ」
「へー、じゃあ、俺らだけで予定立てちゃおうぜ」
「えー、健一が行かないんなら私も行かない」「ケンちゃん抜き~?え~」
「いいジャン俺らがいるだろ」
カバンの中にはあれがある、あれさえ持っていれば、あいつと・・・
「罪悪感だけの作り笑いか、お前も器用なことやってんだな」
「・・・」
「今日も練習か?」
「・・・」
「あのね、客なんて乗ってないんだから話してもいいだろ?」
叔父の所へ向かうバスの中、今日は午後の授業がないため、生徒は皆お昼で帰る。
いつもと違う時間帯、乗客は少なかった。一番後ろの席、横にあいつが座った。
(しかと、しかと、こいつと話したらろくなことない。)
「先輩たちと待ち合わせしてるんだ、四時からスタジオ」
(ふーんて、まだ二時間以上あるじゃん)
「秋山さんには言ってあるんだ、俺もバイトさせてもらおっかなとおもって」
ハア?原を見た。
「冗談!何言ってるの、違うとこ探しなさいよ!」
「フフーン、しゃべった、許可はとってきた」
「うそでしょ‼」
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