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「サンキューな、また、頼むぜ」
「うん!」
「すげー、スゲー知佳ちゃん、俺んとこ次ね、オーナー、いいすっよね」
「まったく、柿田、もうちょっといいの揃えろ、知佳できるか?」
「ちょっと休憩させて、飲み物もってくる」
録音ブースの音は外に聞こえるようになっている、各レジの横のスピーカーから小さな音が流れる、それだけじゃない、小さなモニターが中をうつしている。今、どんなバンドが演奏しているかで張り合いが出るし、ここから新しい人材が出てくるかもしれない。事務所でポカリをゴクゴクと飲んでコーヒーを二つ持つ、叔父とキヨ君の分
―ねえ、さっきのギター、君が弾いてたの?
初めてかな知らない人が話しかけてきた、キヨ君が早く行けと促す。コーヒーを渡した。
「スタジオ5空きました。お待ちのお客様どうぞ」
「別に少ししゃべるくらいいいじゃないですか」
「俺の女だ手出すな!」
ぎろりと睨まれた。常連以外はすぐにわかる。そんなやつらに手を出させないため、キヨ君の洗礼を受け、越えてきた人たちが今の常連たちだ。
「(ふーん、彼氏ねえ、結構年上じゃん)中、入っていいですか?」
「今ならいいよ、静かにな」
今終ったグループや何人かの人たちと一緒に中に入る、男性が機械の前でコーヒーを飲みながら中とのやり取りをマイクで話している。周りを見渡す、いろんな機材、ギター、マイクスタンドが無造作に置いてあり、ソファーが一つ、そこには男性達が座って小さな声で話している、さっきのギター、持ち替えなくてもエフェクターで変えられたのになぜそうしなかったのか聞いている、窓越しに中を見る、女がエフェクターの準備に余念がない。
―へー、エレキもやるんだ、すげー、エフェクタープロ並みの数じゃん、先輩なんか三つか?
なんて、気に魅するのはそれくらいで、周りの人たちの恰好ばかり気にしていた。
「テスト行きます」
マイクのスイッチが切られた。話すのをやめ、みんなが窓から中をのぞく、その後ろからのぞくように中を見た。女がボブヘアーの横、耳元を髪留めで止めた。
ドラムのカウント
ジャ―ン
一発の音で、俺は窓に近付き中をのぞきこんだ、思わず体が前に出る!
―あいつ、プロじゃん!
そして、テクニック
―音が違う!
さっきまで、先輩たちとやっていた、コピーバンドとは雲泥の差。これがインディーズ、この人たちはプロだ。ハードロックに鳥肌が立った、これでテスト?じゃあ、本番てどんな!
―あいつ、何もんなんだ!
キーボードの音でフェードアウト。
横にいた男性が丸のサイン、マイクの音が入る。
「ギター、弱いな、柿田、ダブルでいれた方がよさそうだ、知佳、出来るか?」
頷いている女がいる
「さあ、本番だ、みんな出てくれ」
追い出されるように外へとだされる。
レジにはもう人がいなくて、階段下のレジにさっきの男性がいた。
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